GAMEOVER
不可思議現象で、ふりだしエンド
眩しい光に誘われて、あなたが扉に手を触れた瞬間……
映画やアニメで見たような、異次元空間
が、あなたの眼の前に現れた。
…いや、現れたというのは間違っていないが、もっと詳しく言うと
「あなたは今、異次元空間の中にいます」
という方が、今の状況にはピッタリな説明だ。
………だけど、あなたは今、ここが一体どこなのか分からず困っています。あなたが今いる場所が異次元空間だという、正しい情報を理解していないからだ。
そんな……あなたを遠くから見つめる存在がいた。
混乱している中、あなたが周囲を見渡していると
「この空間に来て、困っているんだね。何も言わなくても分かるよ。
ここは普通なら、人間が絶対に来ることができない場所だからね。
でも……人間の世界で第二次世界大戦という戦争が起きた時に、異変が起きて、この世界と人間の世界が時々、繋がってしまうんだ。
あなたが、この世界に来た原因は、そういった事情が有るからだよ。
あっ…でも安心して、今まで迷い込んだ人間は全員、元の世界に帰してあげているから、
そうだよねスケちゃん?」
という事を言いながら、大人気スマホゲーム『見つけてヨーもん』
の『戦国ケンタ』にソックリな存在が現れた。
この状況に、あなたは
「これ本当に現実?」と、
声に出して本音を漏らしています。
すると戦国ケンタの隣に
「ケンちゃん…
余計なこと話していないで、この人を早く元の世界に戻してあげましょう。
それに元の世界に戻ったら、この世界での記憶は消えてしまうんだから、
以前、この世界に来た…佐々マナビちゃんや、佐々ミコちゃん、佐々ムツヒメちゃんも、元の世界に戻ったら、私たちのこと完全に忘れていたからね。
…でも佐々成政さんと、チャーレン・ジャガー教授…という例外はいるけれど、この人は元の世界に戻しても、ちゃんと忘れていてくれそうだから安心ね」
などと言いながら、大人気スマホゲーム『見つけてヨーもん』 の『助っ人JK』にソックリな存在が現れた。
この状況に、あなたは「これ……もしかして、異次元空間や異世界に来てしまった。
…という映画やアニメのような出来事を、自分が実際に体験したってことだよね!?
なんかスゴイな……こんな誕生日ないわ」と、ようやく今の状況に気づく。
「異次元空間・異世界」に来たのだから、思わず笑みを浮かべるのは当然だ。
しかし、次の瞬間
あなたは、見覚えのある場所に立っていた。
そしてスマホの写真撮影機能を使いながら、何かを探している。
すると…
「今日は良い誕生日になったぜぇええええええ!!!
だって、あの戦国ケンタをGET(入手)できたからさぁああああああああ!!!!
うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお…」
と絶叫しながら、あなたは喜びだす。
………今の「あなた」は、先ほどまで異次元空間にいた事実と、
その異次元空間に行き着くまでに体験した出来事の全て
に関する記憶が……完全に消えていることに対し、
疑問や違和感を抱くことなく、今日という日を普通に過ごしていました。
しかも異次元空間に行った直後の時間や場所ではなく、
あなたが初めて戦国ケンタをGETした時間と場所に、
タイムスリップしていることにも、気づいていない。
(時間を巻き戻して、過去の時間と場所に行くことをタイムスリップという)
そんな…今の「あなた」には「あの戦国ケンタをGETできた喜び」しか、なかった。
ゲームブックの中の「あなた」が、現在の選択が失敗だったことに気づくことはないけれど、
この物語を遊んでくださっている方は、現在の選択が失敗だったことに気づいています。